ドレスをお体にジャストフィットさせる、
アトリエとしての作業をお伝えします。
人間の体は一人ひとり違います。
お顔が一人ひとり異なり、
一人ひとり異なったコーディネートが必要なように、
服も元来は、一人ひとり全く違う型紙が必要です。
つるしの洋服でそれが問題にならないのは、
それらの服が体に密着しておらず、
十分なゆとりがあるためです。
例えば昔のドレスのように、
体のラインが出てしまうようなドレスでは、
(この女性、皇妃エリーザベートのような人の場合)
仕立屋が彼女の体と全く同じサイズのボディーを作り、
仮縫いで仕立てた服をそれに着せて、
服を作ってゆきました。
そうしなければ体に密着したラインは製作できません。
もっとも顧客一人ひとりのボディーを作るのは、
大変な手間とコストがかかります。
王族か、大富豪でなければ、
今日ではやっている人々は居ません。
当店では、低コストでそれを達成するために、
パソコンの中に、
お客様一人ひとりのボディーを作っています。
お客様の体を採寸し、
写真で撮影もし、
お客様の体と同じボディーを、
パソコンソフトで製作します。
このボディーの表面を覆う布が、
お客様にからだにぴったり密着する、
ドレスの型紙になります。
もちろん、撮影や採寸でわかるのは、
「気をつけ」の姿勢のサイズだけでして、
実際には人間は動きます。
ですから仮縫い
(シーチングという安い生地でサイズの確認をする作業)は、
欠かせません。
膨張感の無いドレス姿、
体に密着したラインを達成するのは、
今日でも手間はある程度かかります。
それでもテクノロジーの進歩のおかげで、
昔の王侯貴族のようなことが、
簡単にできるようになったのは、
有り難いことですね。