・・未開紅(みかいこう)・・
4:羽開地(はねひらくち)
海から上がったようなAyanoさんの黒髪に冬の菊の花を飾って。
「陰暦正月の元旦
群卿百寮の朝賀と共に長安の春は暦の上に立つけれども
元宵観燈の頃までは大唐の都の春色もまだ浅い」
「立春の後約十五日、節は雨水に入って菜の花が咲き、杏花が咲き
李花が綻ぶ頃となって花信の風も漸く暖く
啓蟄に至って一候桃花、二候棣棠、三候薔薇」
春の陽に大地が温まり、草木が芽吹くのと同時に
冬眠していた虫が穴から出てくる啓蟄(けいちつ)を過ぎ、
美しい蝶々になって空に飛び立ってゆくように、蝶や鳥の羽根は、
海から陸に上がった人魚、遠くさかなのヒレをも思い起こさせます。
「春分に及んで一候海棠、三候木欄と
次々に種々の花木が撩乱を競う時に至って帝城の春は日に酣に
香ぐはしい華の息吹が東西両街一百十坊の空を籠めて渭水の流も霞に沈み
終南の山の裾には陽炎が立つ」
古来尽く属す紅楼の女(ひと)、
それは東洋に古来から伝わる太陽の女神、
家家楼上、花の如(ごと)き人。
徳島で晴れの日を迎え花嫁となられたAyanoさんが
お式後にお送り下さったお二人の写真を最後に飾って。