彼の本質、存在意義は、
1枚の写真を見ればだいたい分かります。
典型的にオリエンタリズムな服装ですが、
ポワレはこんなことを、
世界中の衣装でやっていました。
着物風ドレスあり、
中国風ドレスあり、
こういうことはつまり、
「着て楽しむ文化人類学」とでも言うべきもので、
その根底にあるのは、
帝国主義です。
近代ヨーロッパは、
全世界をその支配下におきました。
支配者サイドに立った人間は、不思議なもので、
やみくもな収集癖がつくのです。
全部の資料を集めたい、
地球上の人々の全ての情報がほしい。
今日そういうことをしているのが、
Googleという会社でして、
地球上の全ての場所の地図と衛星写真が見れる、
全てのウェブサイトが検索できる、
そういうことをやっていまして、
それでGoogle内部では、
「自分たちは地球政府を作るための仕事をしている」
と、そういう意識でやっているそうでして、これなんかネット帝国主義とでも言うべき気宇壮大な志ですが、
ポール・ポワレと、彼を支持した当時のパリの人々は、今日のGoogle社員のような気持ちで世界中のコスチュームを、わがものにしようとしていたのです
というわけでポワレの説明は終わりで、
googleのおかげでわりと簡単に済んだのですが、
次のシャネルは少々やっかいです。
世の中というものは、政治と経済で出来ていまして、
近代社会の政治をファッションで体現したのがポワレならば、経済を体現したのがシャネルなのですが、
その経済の話に少々、基礎知識が必要なのです。