ファッション史を要約して説明します。
と言うとかならず、怒る人が出てくるのですが、だいたい歴史とは要約です。
実際に起こったことの全てのディティールの説明は、不可能です。
ですから細かいところはすっとばして、適当に概略だけを述べる。
それを私たちは、歴史と呼んでます。
ファッションの歴史もそうでして、
全ての時代の全てのデザイナーの全ての服の全てのデザインの、、、、
と延々と説明を続けていっても、
膨大な時間ばかり浪費されていって、何も得るところがありません。
要領よく、ポイントを十分に把握して、後は省いてしまうのが得策です。
後の細かい部分は、ポイントさえ理解しておけば、誰でも自然に理解できてゆくものなのです。
ではファッションの歴史のポイントはなにか。
それは20世紀に活躍した、4人のデザイナー、
そのうち2人は「政治家タイプ」で、
そのうち2人は「エンジニアタイプ」なのですが、
彼らの仕事についての知識さえあればよいのです。
政治家タイプのデザイナーは、
ポール・ポワレと、
ココ・シャネル。
彼らは服作りが好きと言うよりも世の中を動かすほうが好きで、その手段として服作りがあった、という人々です。
政治家をはじめとして、広告代理店やテレビ局、映画会社などにも、多く居そうなタイプです。
エンジニアタイプのデザイナーは、
マドリーヌ・ヴイオネと、
クリストバル・バレンシアガ。
かれらは世の中の事にあまり関心が無く、ひたすら服作りを探求してゆきます。
自動車や電機メーカーの、開発部門や工場には、こんなタイプが大量に居そうですね。
乱暴な言い方すぎるかもしれませんが、この4人が分かれば、実はファッション史の8割は攻略済みなのです。
19世紀以前のことも、現代のことも、研究していけない、ということはありませんが、研究する必要は特にありません。
彼ら4人からの類推で、他はだいたい理解できてしまうのです。
美術で言えば、この4人で、
ルネサンスからピカソあたりまで全て網羅しているくらいの、
それくらいのウエイトなのです。
では、なぜそんなに少数の人にウエイトが集中しているのか。
そこらへんのお話は、次回とさせていただきます。