4) 襲ねの色目

・ ・ プロセス・Minako様 ・ ・

4) 襲ねの色目

「白とグリーンのコーディネートイメージ」

意外に思われることかもしれませんが、
白という色には様々なグラデーションがあります。

ドレスの本生地、またそれに重ねる他の生地以外に、
裏地や芯時といった様々な生地の使い方や張り方、
生地の向き、縫製時の縫い糸の選び方、、
同じ白の色でも、人の目に映る表の生地の色合いは、
仕立て方法によって全く異なってきます。

「ヨーロッパの緑深い森に棲む妖精のイメージ」

美菜子さんのお好きなアマリリスの花びらの
質感とかたちを思わせる、
艶のある光沢が美しい伊製サテンシルクの、
ソフトマーメイドラインの本体白ドレス。

柔らかで繊細な仏製シルクシフォンの
オーヴァートレーンスカートを、
彼女の持たれている、ほんわりとした雰囲気に合わせて、
本体ドレスにふんわりと、軽く重ねて。

ダヴィッドの「レカミエ婦人の肖像」で表現されているような、
黄色い太陽の日に光輝くような、無垢で強い白さよりも、
美菜子さんには、もっと可憐で繊細な白さを。

緑の持つ瑞々しい力があって優しく光る、
森の木漏れ日のような透明に近い白色が、
初秋の朝の日差しの中、会場のお庭の芝生の丘で
お式をされる彼女に、きっと似合われると思いました。

外国の方も多くゲストにいらっしゃる
美菜子さんのご披露宴でのお色直しには、
お花や小物の組み合わせを前提にした、
着物がテーマのさくら色のドレス姿を考えました。

「桜の花と生成りのコーディネートイメージ」

日本の着物は、生地それ自体の形状よりも、
生地や小物の合わせによって、衣装の奥行きを表現します。

微妙に異なる色や素材の生地を幾重にもかさね、
季節に合った質感、襲(かさ)ねの色目を生み出します。

そして、着物生地と帯柄との出会いに始まり、
異なった素材同士を調和させるための衣装小物、
小道具は対句表現的に飾ってゆきます。

「桜の木の枝を肩に背負(しょ)った藤娘のイメージ」

薄ピンクとオフホワイトの絹を重ねた色合いに
着物柄のように刺繍ラインが浮かび上がるよう、
仏製リヴァーレースをカッティングして手縫って、

彼女のお好きなピンク色のリボンで帯をしめ、
レースの飾り帯を背負(しょ)って。

紅色の花簪や帯留アクセサリーを飾り、
桜のような一重咲きの薄ピンクのバラと
薄紫の藤の花の枝のシルクフラワー、
そして、同様のイメージのブーケを合わせました。

このドレスにとって、そしてお花の大好きな
美菜子さんにとられてもっとも大切といえる、
和洋折衷のブーケに始まる花のコーディネートは、
これから彼女と過ごす時間(とき)に決められてゆきます。

 

 

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