・・未開紅(みかいこう)・・
1)花開地(はなひらくち)
春を迎える前に桜の花の散ってしまったような
今年の春先、まだ梅の花の蕾の開かない頃に、
「未開紅(みかいこう)」と名づけたドレスを、
四国の徳島からお通いいただいたAyanoさんにおつくりしました。
エドマンド・デュラックの海中の絵、人魚姫の描かれた絵を、
イメージにされたいとAyanoさんは最初におっしゃられました。
こちらも同じくデュラックの絵です。
愛する人のため水面に現れた人魚姫。
海と天の境でもあり繋ぎもしている水面に咲く蓮の花を
胸元に刺繍をして据え、頭、髪には、菊の花々を飾りました。
デュラックの数枚の絵と共に、現在と過去、未来と現在を思いながら。
お正月、新しい年を迎えたばかりの頃のことでした。
梅の花の蕾のカタチをした「未開紅(みかいこう)」
という和菓子が一番好きといわれるAyanoさんは、
桜の花より以前の、梅の花の咲く、まだその前の雪の季節、
冬と春の最初の境目の季節を、その晴れの日に選ばれました。