・ ・ プロセス・Aiko様 ・ ・
2)Girl and Lady
Aiko様にお仕立てさせていただいたのは、
シンプルに見えて、実はとても繊細につくりこまれた、
生成りのハイウエストワンピースドレスです。
生成りのシルクに、ギャザーのコットンシルクオーガンジー、
またその上に、別倍率のギャザーのシルクチュールを重ね。
三枚の身頃パターン(型紙)全ての形状が異なっています。
シルクチュールは、一本一本の糸が非常に細い
希少な生地で、常にご用意できるとは限りませんが、
この時はフランス製のものが、運良く手に入りました。
繊細な生地を理想のラインにカタチづくるため、
形状記憶極細ワイヤーを特殊な方法で入れ込み、
伸縮性のある細糸を使いながら、身頃は手縫いで仕上げました。
ハイウエストの切替などに、ゴールドの細レースや
細いアクセサリーワイヤーを絡め使った、細かな装飾を、
生地の風合いを生かすべく、丁寧な手仕事で加えています。
ご本人の骨格、とくにお顔まわりを美しく見せるために、
ドレスの身頃胸元デザイに次いで
重要になってくるのは髪型、ヘアスタイルです。
ドレスの身頃胸元のライン、デコルテと同じく、
ほんとうにちょっとした髪の流れの違いで、
お顔の印象は驚くほど変わってきます。
「濃い生成りのエンパイアラインドレスを」
Aikoさんのしごくシンプルなご希望に感じられたのは、
ガーリッシュ、グリーク、ロマンティック、
たとえばそうしたスタイルを、装う ことではなく。
「本当の少女の心を残した、本物の大人の女性」
Aikoさんご本人に感じられた、ハートとアプローチ。
両者を最大限に表現出来る、そんな花嫁像でした。
Aiko様の花嫁衣裳を完成させるため、
そして花嫁姿を実現させるために。
ドレスのフィッティングの過程で同時に、
ヘアメイクスタイルを丁寧に検討してゆきました。
そして、コーディネイトの選択が加わります。
たとえば一口に、お花のコーディネイト といっても、
花の量、種類、付け方など、選択肢は無限にあります。
そんなコーディネイトを鏡の前で繰り返すうち、
Aiko様の表情にも変化が見られたかのようでした。
少女のようなあどけなさから、乙女のようなしなやかさへ、
ご自身のお顔立ち、そして内面を再確認されたようでもあり、
また、新しい旅立ちに向けて、
心の準備をされているようでもありました。