夢夜の奏でる

台風と猛暑残暑を無事通り過ぎて、夏と秋の季節の境い目にだけ訪れるあの独特な透明感、
天高く空を仰ぎ見て感じるあの空気感の中で、初秋の爽やかな晴れの日をお迎えいただきたいドレスに仕上がりました。
お祖父様が、兵士としてではないけれど満州にいらしたことで、書斎に漢書がたくさんおありでらしたそうで。そのお祖父さんの影響を受けて読書がお好きに。
ドレス製作中、お休みに思い立って南の島に飛んで、海辺で一日読書をしてきましたと、笑顔のご報告をお伺いしたこともありました。
たくさん読まれた中でも一番なお好きな作家はいるんですか?とお聞きしたところ、日本人の作家。夏目漱石と三島由紀夫とのことでした。
このドレスはベアトリーチェ、神曲のヒロインの名前です。神曲はギリシア神話が土台になっています。
お父様から贈られたパールの下がりのイヤリングをだけ、ドレス以外には身につけられた彼女のお姿に、漱石の夢十夜の、ギリシア神話を下敷きにして書かれた、ある美しい章を思い出しました。

 

 

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