ドレスに限らずなんでも、表面の装飾もそれなりに大事ですが、
表に見えない内側の構造はもっと大事です。
つまり、一番大事なことは大抵隠されています。
トヨタ自動車の車のデザインに好き嫌いはあるかと思いますが、
(私もハイセンスとは思いません)
エンジン、バッテリー、モーターなどの駆動機関の研究は、
世界一なのです。だから今のトヨタがある。
ドレスは車ほどは、大事なことは隠されていません。
ですが似たようなことはあります。
もっとも有名なドレスデザイナーは、ココ・シャネルですが、
彼女は車で言えばエンジンの研究、
服屋の場合はパターン(型紙)技術は、たいしたことありません。
でも、すばらしい服です。
たとえばこちら
楽しいドレスですね。でも実は、かなりの素人仕事なのです。服製造やっているとわかります。なんとなく全体がゆがんでいる。裾のラインのコントロールが不十分な感じがある。間違いなく目を引くドレスではありますが。
パターン(型紙)技術がもっとも高かったのは、
マドレーヌ・ヴィオネという人です。
たとえばこちら
体にすっと吸い付くようなドレスです。縫いの量は少なく、実は使用生地量もシャネルより大幅に少ないのですが、ドレッシーな雰囲気を持っています。もっとも目立つのはシャネルのほうですね。
両者の差は、数値計算能力です。
というと「私は数学大嫌い」と怯えられそうなのですが、日本女性の数値計算能力実は歴史的に高いのです。戦国時代に日本に来たイエズス会の伝道師が、驚きを持って書いているのが、
「なんと、日本女性は計算ができる。おつりの計算なんか男性より速い」
ということです。
当時のイエズス会といえば、今日のグーグルのような情報産業でして、世界中の情報を持っています。本国スペインでは女性はほとんど計算できない、ほかのヨーロッパ人でも女性は普通は計算できない、イスラムの女性も、インドの女性も、中国の女性も計算できない、日本女性がなぜか計算能力を持っている、下手すれば男性より早い。ようするに全体の水準が高すぎるのと、苦手を苦にしすぎるまじめな性格で、数学嫌う人が多いだけです。
だから日本のドレスは最終的に、シャネルの華やかさとヴィオネの計算能力を統合するものができるはずで、そちらに向かって一応私たちも努力しているつもりです。